スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
【辞典詩集(仮)】ほ:ポケット
窓際のいつもの席に着くとすぐに彼女の携帯が鳴った。
この着信音はあまり良い知らせを届けてくれない。
思った通り待ち合わせをキャンセルするメールだった。
ハーブティーを注文してメニューを閉じると彼女はソファーに深く身を沈めた。
窓に映った自分の顔を見つめながら
宙に浮いてしまった時間をどうやり過ごそうかと考える。

車の鍵をどのポケットにしまったかを思い出そうとして
ジーンズ?コート?トートバッグ?
自分が案外たくさんのポケットを持っていることに気付いた。
「悩みは溢れるほど多く ポケットには収まりきらない」
頭の中でそうつぶやいてみる。ガラスの向こうの自分と目が合う。
彼女は自分が抱えているものを一つずつポケットに入れてみることにした。
最初に恋人のことを左胸のポケットにしまった。
次に仕事のこと。自分の年齢とこの先の時間。。。

最後の一つを右手に載せてよく眺めてみる。
それは彼女の心を占めている物の中では一番新しく
その分もろくてとても危うい物だった。
そう。これこそが問題なのだ。彼女は思う。
急に細い雨が降り出して窓に張り付いた彼女の顔を歪める。
その顔は笑っているように見える。
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
copyright © 2005 A small ,good thing all rights reserved.
Powered by FC2ブログ.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。