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【辞典詩集(仮)】り:りんご
『マグリッドはりんごの絵を描いてその下にタイトルをこう書き添えた。
「これは【りんご】ではない」
彼の描いたそれが形而上学的【りんご】を表しているのは明白だけれど。。。』

日曜日の少し遅い朝。
よく晴れた空を見つけて 僕らはベランダにソファーを持ち出す。
朝食はりんごをひとつずつ。
きみはそれを愛おしそうに両手で持って 口づけをするように優しく囓る。
ーーシュワックトゥ。
ひとくちひとくち ゆっくりと食べる。
ーーシュワックトゥ。シュワックトゥ。
僕はきみに見とれ きみの口元に見とれる。
「マグリッドは。。。」
そう言いかけて僕は口をつぐむ。じっときみの横顔に目を向ける。
きみは呪文のような音を小さく響かせてもうひとくち囓ると
ーーシュワックトゥ。
僕の方に向き直ってお話を始める。
「けれどそれは 悪い魔女が変装したおばあさんで
 白雪姫がもらったのは毒のたっぷり入った毒りんごだったのです。
 哀れ白雪姫の運命やいかに!。。。ああぁ!」
きみは大げさに僕の膝の上に倒れ込む。
りんごを胸の上でしっかり持ったまま 目を閉じて僕を待つ。
「。。。うん。マグリッドよりずっと良い」
僕がつぶやくときみは片目を開けて僕にどうしたの?と問いかける。
「ああ!美しい白雪姫!どうしてこんなことに!」
僕はきみに長い口づけをする。
白雪姫が意識を取り戻してもそれは続く。
間の悪い電話の呼び出し音が鳴り始めても僕は知らないふりをする。
「きっと悪い魔女かマグリッドからね」
きみは少しだけ身をよじってそれだけ言う。僕はうなずいてきみとのキスに戻る。
きみの吐息が少しだけ漏れて それは甘く酸っぱいりんごの香りがする。
僕の耳にきみの小さな呪文が戻ってくる。
ーーシュワックトゥ。シュワックトゥ。
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