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【辞典詩集( 仮)】あ:雨女
【辞典詩集( 仮)】あ:雨女

ちょうど先月の今日 僕は彼女に出会った。この店のこのカウンターのこの席で。

「その年は一年中ずっと雨が降り続いていたわ。
激しく打ちつける雨があれば音のない細かい霧雨もあった。
そして誰も気付かない雨のない雨の日もあった。
そんな年に私は生まれたの。
私はそのすべての雨をはっきりと覚えてる。
すべての雨の音と匂いと憂いと悲しみとそんな何もかもを」

今日も彼女は姿を見せない。僕はあきらめて勘定を払い店を後にする。
外では強い風が舞っている。暗い雲が空を覆ってはいるが雨はまだ降っていない。
それともこれが彼女の言う『雨のない雨』なのだろうか。
僕は目を閉じて両手を拡げ自分の体から何かが染み出すのに任せる。
それはしばらく僕の体にまとわりつくようにした後にじっとりと周囲を漂い
急に重みを失って吸い込まれるように空へと昇っていく。
やがてそれは雨雲を呼び 憂いの粒あるいは悲しみの粒となり地上に降り注ぐ。

僕の心は打ち明け話という【罠】によって彼女に捕らえられてしまったのだ。
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